Ash Zealot / 灰の盲信者 (赤)(赤)

クリーチャー — 人間(Human) 戦士(Warrior)

先制攻撃、速攻
いずれかのプレイヤー1人が墓地から呪文を1つ唱えるたび、灰の盲信者はそのプレイヤーに3点のダメージを与える。

2/2


これまで、レガシーのバーンで2マナのクリーチャーの選択肢というと、
ケルドの匪賊と地獄火花の精霊という、
即効性をもちながら恒久性に欠ける2枚が主でした。

特に匪賊は、2ターン目に唱えた場合、
想定するキルターンである4ターン目に1枚2マナ5点という高いダメージ効率を持ち、
RUGや同類系に高い耐性を誇ることで、最近はメインに2~3枚ほど採用されていました。

RTRで採録された灰の盲信者は、それら匪賊や地獄火花よりも
バーンのメインに"合う"、"強い"クリーチャーだという意見が、
バーン道場(http://cheater.diarynote.jp/201210181634034895/)にて出ました。
それについて考えてみたいと思います。

2マナのパワー2の速攻というのは、それだけで、
4ターン目に6点を与える効率を持っています。
しかし、これまで、その条件を満たすということはその他が貧弱なカードパワーとなり、
地獄火花の次点に上がるのが、稲妻のやっかいものなどの2/1勢であり、
石鍛冶の神秘家本体さえ踏み越えられないものでした。

この、石鍛冶を越えられるかどうかは、メタ的にも、またカードパワー的にも、
採用基準として分かりやすいものになっています。
1マナのクリーチャー、ゴブリンの先達、運命の大立者、
渋面の溶岩使い、苛立たしい小悪魔は渋面以外は
全員P/Tの面で石鍛冶を越えるものであり、
もちろん渋面は石鍛冶に対して非常に有用なカードです。

2マナのクリーチャーを採用するにあたり、
1マナのクリーチャーのカードパワーを下回るカードを選択肢に挙げることは出来ません。
お互いのターンの動き的にも匪賊が石鍛冶を踏み越えられるという言い方はしにくく、
RUGなど、その他のデッキに対するメタカードとして投入されていたというのが事実です。
盲信者は、2/2速攻という、明確にそこの基準をクリアした、
初めての2マナのデメリットのないクリーチャーです。
ちなみに、エコーを持つ2マナ2/2速攻として、ゴブリンの戦闘バギーがあります。
メンタル用に頭の端にでも。

更に盲信者は2つのメリット能力を持っています。
まず先制攻撃について検討してみます。
スレイベンの守護者、サリアを筆頭とする白の多彩なクリーチャーに比べて、
赤のクリーチャーが持つ先制攻撃(系)はこれまで
巣穴の扇動者の二段攻撃くらいしか日の目を浴びていませんでしたが、
インスタントタイミングのダメージソースを多く持つバーン的には、
本来、非常に戦闘を有利に進められるキーワード能力でもあります。
稲妻と掛け合わせた先制5点は、これまで非常にネックとしてきた
タルモゴイフと殴打頭蓋を安定して戦闘から取り除ける点数であり、
渋面との4点にしても、恣意的に墓地を整理できることから、
両者に対してほぼ同様の効果を期待できます。
サリアと相打てるのも非常に強みです。

実質的な単体除去として機能してしまうことで盤面を捲られてきた
瞬唱の魔道士とヴェンディリオン三人衆に対しても
戦闘で一方的に踏み越えられるというのは、
実は今まで戦士になった大立者しかありませんでした。

負けうるカードである石鍛冶、タルモ、殴打頭蓋、瞬唱、ヴェンディに
強いというのはそれだけで採用候補でありながら、
クロックとしても最高値を弾きだせる以上、採用しない理由が特にありません。

『いずれかのプレイヤー1人が墓地から呪文を1つ唱えるたび、
灰の盲信者はそのプレイヤーに3点のダメージを与える。』
という能力が耳目を集めがちですが、
あくまで盲信者はクロックとしての評価が高いクリーチャーです。

また、墓地から呪文を唱えるデッキの種類は多くありませんが、
数自体は少なくありません。
特に瞬唱と渦巻く知識のユニットは、
クロックが先達だけの盤面で用いられると、
ハンド・アドバンテージの面でもクロックの面でも
非常に不利な展開に追いやられることが多かったですが、
多くのパターンで負けにくくなりました。

もう一つ、炎の中の過去擁するANTに対しても、
明確に耐性が増したと言えます。
ANTの基本のキルターンである3ターンで見た場合でも、
先手2ターン目に唱えれば匪賊と同等の4点を稼げ、
後手2ターン目、先手3ターン目では1点多く稼げます。
特にメインのANT戦はこうした1点を稼ぐマッチです。

ただし、戦慄の復活と陰謀団式療法という2種類のFBを
キーカードにするドレッジに対しての耐性は上がったとは言いにくいです。
特にグリセルブランド型は各カードの相性とスピード的に、
メインは比較的あきらめざるを得ないのは変わりません。
(グリセルブランド型のドレッジ自体の数が少ないことと相殺できますが、
ドレッジ自体は実物提示教育他、環境の幾つかのデッキに有利がついているのと、
白いデッキの安らかな眠りの採用でメイン・サイドが厳しくなったのとで、
メタ上の増減が読みにくくなっていくと思います。)

殴打頭蓋同様、殴る上ではグリセルブランド自体には多少の耐性はつくのですが、
グリセルブランドが入るデッキの他のカードに対して強いとは言い難いのも事実です。

またFBの他にはカラスの罪と墓所這いが範囲に含まれ、
どちらもループを形成しやすいので、優秀な対策になります。
モダン・スタンがそれぞれ主戦場ですが各フォーマットで戦い合えますね。

今回、本文自体が長くなったので各カードの期待値・確率の値は省略しましたが、
メインに3枚取れば効果的に上に書いた動きを取りやすくなり、
メインに4枚取れば良くある動きとして期待・予測しやすくなります。
あまりサイドに入れる必要性は感じませんが、
相手のサリア、呪文貫き、呪文捕らえ/審判官の使い魔
のサイドインが多いと判断すればメイン3サイド1などの構成もあると思います。

クロックとして、またシステムクリーチャーとして、
盲信者は"これまで不利がついていた相手"に優秀なカードですので
個人的にはメインに4枚取りたいカードです。


// Lands
2 [ON] 《血染めのぬかるみ/Bloodstained Mire》
4 [ZEN] 《沸騰する小湖/Scalding Tarn》
4 [ZEN] 《乾燥台地/Arid Mesa》
9 [ZEN] 《山/Mountain》

// Creatures
4 [ZEN] 《ゴブリンの先達/Goblin Guide》
4 [M12] 《渋面の溶岩使い/Grim Lavamancer》
4 [RTR] 《灰の盲信者/Ash Zealot》

// Spells
4 [B] 《稲妻/Lightning Bolt》
4 [LG] 《Chain Lightning》
4 [TSP] 《裂け目の稲妻/Rift Bolt》
4 [CHK] 《溶岩の撃ち込み/Lava Spike》
4 [VI] 《火炎破/Fireblast》
2 [EX] 《発展の代価/Price of Progress》
3 [WWK] 《焼尽の猛火/Searing Blaze》
2 [SC] 《紅蓮光電の柱/Pyrostatic Pillar》
1 [CHK] 《師範の占い独楽/Sensei’s Divining Top》
2 [SC] 《硫黄の渦/Sulfuric Vortex》

// Sideboard
SB: 1 [WWK] 《焼尽の猛火/Searing Blaze》
SB: 2 [SH] 《罠の橋/Ensnaring Bridge》
SB: 3 [ALA] 《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》
SB: 2 [R] 《赤霊破/Red Elemental Blast》
SB: 2 [IA] 《紅蓮破/Pyroblast》
SB: 2 [CFX] 《火山の流弾/Volcanic Fallout》
SB: 2 [SHM] 《粉々/Smash to Smithereens》
SB: 1 [SC] 《硫黄の渦/Sulfuric Vortex》


実際に自分で使う予定の、盲信者4のサンプルです。
サイドボードは割愛です。Pillarと渦の位置が変わる程度です。
道場で"切っていいかも"と言われているPillarのメイン2採用ですが、
ショウテルの全知のキャントリップルート、ANTのメイン耐性、Dazeケア、
サリアデッキ、瞬唱ヴェンディの引きずり出し、罰する火耐性、
RUGやZOOのテンポを取ってくるクリーチャーを焼いても
ライフを攻める動きなどで、渦よりも軽く早く、
それぞれ計算のし易くなる挙動をしてくれるので、
個人的なレガシーの対人戦の機会の少なさを誤魔化せるカードとして採用しています。

こんなところで。

*先ほど、ひさしぶり過ぎて半角の<と>で各カードの省略名を囲んでしまい、
歯抜けの記事を挙げてしまいました。修正しました。

コメント

是音@フジカツ
2012年10月19日9:20

このゑさんのが考察しっかりしてるんで、この際ドージョー乗っ取ったらいかがですか

ヱロゐ人。
2012年10月19日9:25

ワイルドベリーに早く認められる様にならんとなぁ…。

このゑ@ハリー
2012年10月21日2:16

>フジカツさん
僕とeraさんの一番の違いは経験量でゲーム数なので
バーン道場の考察に関しては、「eraさんの意見は(ある一定量の経験則において)正しい」
っていう考えありきなので、僕自身がゼロからってのはシーキビですね。
マジレスしちゃった。

>ひぐちさん
認める認めないというほどのプレイヤーでも教師でもないんですが
バーン道場に関しては感性の一致での入門ってカンジですね。
マジレスしちゃった。

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